前編→https://novel.ruruie.com/article/104/
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TV『えー、次のニュースです。怪盗エリーチカが××美術館の絵画を予告通り盗み取り逃走した模様です。マスコミは脱出の瞬間をビデオで撮影しており…』


海未「やりましたね、絵里」

絵里「ええ」

絵里「今回も大したことは無かったわ。ただ…」

海未「ただ?」

絵里「ふふっ。いや、一人面白そうな刑事さんがいてね」

絵里「腕を掴まれて捕まえられそうになったのよ。危なかった」

海未「ええ⁉︎本当ですか!」

絵里「本当よ。お宝を取ったあとすぐに」

海未「『危なかった』じゃないですよ!万が一捕まえられたらどうするんですか」

絵里「そ…そーね」

海未「絵里も単独行動は良いですが、もう少し警戒心というのを持つべきです」

絵里「ごめんなさい」

ガラッ

絵里「あらっ、真姫じゃない」


海未「お帰りなさい、真姫」

真姫「ちょっと、お帰りなさいじゃないわよ。外」

海未「外?」

真姫「このアジトの周りで警察の人が一人、ウロついてたわ。迂闊だった」

絵里「ウソ⁉︎誰にも付けられずにここへ帰ってきた筈なんだけど…」

真姫「それがそうじゃないのよ。まだこの場所までは特定できてないみたいだけど、見つかるのも時間の問題ね」

海未「ええ。早めに場所を移す準備を始めましょうか」

真姫「そうみたいね」

絵里「…」

絵里「真姫、その人ってもしかして、とさかっぽい髪型をした可愛い感じの子?」

真姫「多分。って何で絵里が知ってるのよ」

絵里「美術館で見たのよ。さっき腕を掴んできたって話した子」

海未「……‼︎絵里、もしかして」

絵里「何?」

海未「腕を見せて下さい」

絵里「ああ、なるほどね」


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ことり「反応を見る限りだとこの辺なんだけど…」

ことりは今、ある地区に一人でエリーチカ探しに来ています。

何で一人かというと、大勢で警察が動くのは目立って仕方ないから。

実はことりは、怪盗エリーチカに発信機を付けておいたんです。

あの夜、暗闇で腕を掴んだ一瞬に。

幸いな事にそれはまだ外されていなかったので、反応を見て潜伏していると思われる場所まで来たのです。でも…

にこ『ことり、まだなの?もしかして逃げられちゃったんじゃない?』

ことり「う、うん…そうかもしれないね…」

先程から位置情報が何故か不鮮明になって、中々特定する事ができません。

もしかしたら最初から発信機に気づいていて、カラスにでも付け直したのかもしれないけど。

にこ『じゃあ、あと5分探して分からなかったら戻ってきなさい。そもそもあんただけ単独行動なんて、上に知られたら何言われるかわからないし』

ことり「うん、わかった」

にこ『じゃあね、くれぐれも気をつけるのよ』

プツッ

ことり「はぁ…」

思わずため息がもれる。

もう少しで怪盗エリーチカに会えるかもしれないのに…。

そもそも、ことりと彼女がもう一度会えるなんて保証はどこにもないのです。あれっきり、もう一生顔を合わせる事はないのかも。

彼女はお宝を狙うのであって、私の所まで来るわけではない。そんな事、知ってるはずなのに。

ことり「会いたいなぁ…」

私の心は彼女に惹かれています。

なんでだろう。彼女は怪盗であって私は警察官。まるで磁石の同極のように、退けあう関係のはず。

でも、今私はS極がN極を求めるみたいに彼女に会いたがってる。変だなぁ。

心なしか、雲がその速度を速めてことりの頭上を通り過ぎていくように感じられます。まるであるべき場所へと戻るかのように。

いっそその雲になって、エリーチカの場所まで飛んでいけたらいいのにな。

ことり「ああ、5分たっちゃったね」

腕時計を見るとにこちゃんとの電話が終わってからかなりの時間がたっていることに気がつきました。

止めていた足を動かし始めて、にこちゃん達の元へと戻ろうとしたその時、

ことり「ん、あれって…」

上空を見覚えのある「何か」が飛行しています。余りに遠くて見えないはずなのに、それはとても身近なもののように感じられます。

っていうかあれって…

ことり「怪盗エリーチカ⁉︎」


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TV『今、緊急ニュースが入ってきました!怪盗エリーチカが××市の上空に出現したようです!』

にこ「何ですって!」

花陽「あれ、にこちゃん、これって」

希「…ことりちゃんが行ってる場所やね。本当におったんや」

にこ「発信機は正しかったって訳ね!私達も向かうわよ!」

希「待って!にこっち」

にこ「何よ!早く行かなきゃ逃げられて…」

TV『現在の現地の様子です。中継の高坂さん』

高坂『はい!穂乃果は…じゃなかった、今、私は怪盗エリーチカが出現した街に来ております!』

花陽「な、なんか不安になる中継だね」

希「みて、あれって」

高坂『ご覧下さい!怪盗エリーチカはいつものグライダーではなく、風船で上空に浮かんでいるのです!』

花陽「すごい!こんなの見た事無いです!」

希「しかもカラフルできれいな風船やね。一つ一つが輝いてるみたい」

にこ「確かに…って関心してる場合じゃないわよ!」

高坂『あれ、上空から何かが降ってきました!これは…カード?』

高坂『何か書かれているみたいです』ペラッ

3人「…!!!」

高坂『これは…予告状!予告状です!』

高坂『怪盗エリーチカは大胆にも、生放送中に予告状を出してきました!以上、中継を終わります!』

にこ「ちょっとどこで中継終わらせてんのよ!内容見せて無いじゃない!」

希「落ち着いて!にこっち」

希「よく見たら、他にも沢山空からカードが落ちてた。あれ全部予告状なんよ、多分」

花陽「ええ、そうですね」

花陽「って事は、今現地にいることりちゃんに電話すれば…」

にこ「内容がわかるって訳ね!電話するわ!」

ブルルル…

プルルル…

プルルル…

にこ「早く出なさいよ!」

希「多分、ことりちゃんも混乱してて気づいてないんだと思うけど」

カチャッ

花陽「応答がありました!」

ことり『もしもし?にこちゃん?』

にこ「もしもし私よ!今そっちにいるんでしょ⁉︎」

ことり「う、うん」

にこ「なら、予告状の内容を教えて!」

花陽「ことりちゃん、教えて!」

希「ウチも知りたい!」

ことり『う、うん。それがね…』

ことり『【明日の午後10時、『永遠の輝き』を頂きに参上します。怪盗エリーチカ】』

ことり『だって』

にこ「『永遠の輝き』?何よ、それ」

ことり『ことりにもわかんない…』

希「お宝が何か分からないと、守りようがないやん…」

花陽「これはきっと、暗号かもしれません。特に、怪盗エリーチカのメッセージである場合には」

にこ「そ、そうかもね」

にこ「わかったわ。とにかくことりは戻ってきなさい。全員揃ったら作戦を立てるわ」

ことり『うん。わかった』

ことり『じゃあね』

プツリ

にこ「よし、じゃあことりが戻る前に私達で何か案を講じるわよ」

花陽「うん。わかった」

希「こういう時は、あの子の出番やない?」

にこ「ああ、あの子ね」

花陽「花陽が電話してみるね」

花陽「名探偵の凛ちゃんに」

にこ「何か一波乱起きそうね…」

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海未「絵里、これで良かったのですか?」

絵里「ええ。TVも来ていたみたいだし、多分多くの色んな人に知れ渡ったはずよ」

海未「警察が来る前に逃げてしまうなんて、相変わらず逃げ足が速いのですね」

絵里「まあね。そうでもないと怪盗なんてやってられないけど」

真姫「ところでエリー」

絵里「どうしたの?真姫」

真姫「『永遠の輝き』ってなんの事よ。私達も知らないのよ?」

絵里「それは秘密」

真姫「ヴェエエ」


海未「こうなったら絵里は口が固いですからね…話してくれるのを待ちましょう」

真姫「私達は協力した方がいいの?」

絵里「少しね」

絵里「これが成功すれば、中々大変な事になるわよ」

海未「楽しみもありますが、不安にもなりますね」

海未「何しろ、絵里はいつもギリギリですから」

絵里「それが賢い可愛いエリーチカたる所以よ」

真姫「意味わかんない」

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永遠の輝き?

ってなんだろう、わかんないよ。

数千年の時を経ても決して色あせる事のない何かのことかな?

そんなもの、あるのかわからないけど。

ことりは頭良くないし、にこちゃんとか頭の良い真姫ちゃんならわかるかもしれない。

それか、もしかしてモノじゃなくてなにか精神的な思想なのかな?

人々の共通認識。何かのシンボル。…お金とか?それじゃモノじゃん。

それでも、「人々の注目」という名の内面的な宝(?)は既にかっさらっていきました。すごいよ、流石だね。


ああ、それと。


ことりの心も、とうの昔に奪われています。


…とうの昔?昨日会ったばかりなのに。あれ、一昨日かもしれない。いつだっけ。思い出せない。

とりあえず、私たちは最近会ったばかり。それに疑いはない。

なのに、彼女はずっと前から私の心のどこかに住んでいたような気がします。不思議だね。

こんなこと誰かに言っても笑われるかもしれないけど。

アヤセエリ。ことりは、貴方の事が気になって仕方ないです。だから、必ず捕まえてみせます。

待っていて下さい。






……あれ?何でことりは、怪盗エリーチカの名前を知ってるんだろう?


【続く】






以上です。まだまだ続きます。
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