あらすじ
COAT博士が開発した『概念を実体化させる技術』によって生み出された概念体、野獣先輩。
COAT博士の想定を超える能力を持った野獣先輩は、生まれた直後に研究所を脱走。世田谷区を本拠地に定めた後、実体を持たない無敵の身体を駆使し、ネット民やホモガキを次々と精神レイプしていく。
日を追う毎に増えていく男性犠牲者。世田谷区に集う謎の引きこもりやブサイクの群れ。常識を超えた異常事態に国が頭を抱えた時、COAT博士はもう一つと概念体、なんJ民を世に送り出した。

男子高校生「あー今日も学校で虐められたなー」

男子高校生「なんで真面目な俺が虐められて、チャラ男やDQNが女にモテまくってんだろ。世の中理不尽過ぎるわ」

男子高校生「あー家帰ってもやること無いし、淫夢動画でも観て元気出すかー」カタッ

淫夢動画『いいよ!こいよ!胸にかけて胸に!!』『イキスギィ!イクイク...ンアーッ!!!』

男子高校生「あはは、コメント付きだとやっぱ面白いなー」

男子高校生「この野獣先輩って死亡説流れてるけど、今なにしてんだろ」

男子高校生「...どうでもいいか。赤字コメントでもしてみるかなー俺もなー」

??「楽しそうだな」

男子高校生「!?」

??「俺の裸が見たいんだろ? 見たけりゃ見せてやるよ」

男子高校生「な、なんで俺の部屋に、裸の男が......ていうかその顔、まさか」

??「その代わり、お前のケツをもらうけどなあああああああああああ!!!!」

男子高校生「や、やじゅ...っ! ああああアァアアアっ!!!」パンパンパンパンパンパン

??「ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラ」ドシュッドジュッポンジュポンジュッポォ

男子高校生「あっ、ダメ、こん、こんなの、へ、へん、あうっ、あっ、あひぃっ!」パンパンパンパンパンパンパンパン


??「EMURATED EMURATED EMURATED」ボビュッ、ビュルルルルル~~!!!!

男子高校生「んはぁぁぁぁぁらっめええええぇぇぇぇぇん!!!!!」ビクンビクンビクン

??「ふぅぅぅ~~。まずまず、といった締まりだったな」

??「おい、聞こえてるかクソガキ、おい」

男子高校生「は、はひ、はひぃ」ビクッビクッ

??「お前はこれから眠りに落ちる。そして次に起きた時、お前はなにも考えず、真っ直ぐに世田谷区へ向かえ。何も考えずに、だ。いいな?」

男子高校生「は、はぃ...何でも言う通りに、言う通りにします。だからもっと、もっと、もっとぉぉぉ」

??「ちゃんと来れたら考えてやるさ。それじゃあな」スゥゥ...。

ドタドタドタドタ、バン!

男子高校生の妹「ちょっとバカ兄貴!ホモビの音がまた漏れてんのよっ...て......キャアアアアアアアアアアアア!!!」

男子高校生「は、はへ......世田谷......世田谷に行かなきゃ......もっと...もっと...凄いのを......」

男子高校生の妹「け、警察!いや救急車!?ど、どうしよどうしよどうしよ」

男子高校生の母「ちょっと妹!何騒いでるのよ」

男子高校生の妹「お母さ~~ん!お兄ちゃんが、お兄ちゃんが死んじゃうよぉうわーーーーーーーん!!!」

男子高校生「世田谷...せ...た...が...」パタン

MUR「ただいまー」

嫁「おかえりなさい、あなた」

娘(9)「パパおかえりー」

MUR「お、今日も良い子にしてたかー?」

娘(9)「うん!パパが私を良い子だと思ってる限り、私は良い子だよ!」

MUR「おっ、そうだな」

娘「ねぇパパ。来月は私の誕生日だって覚えてる」

MUR「もちろん覚えてるとも。なんだ、もう欲しいプレゼントは決まったのか?」

娘(9)「うん! あのね、私ね、スマートフォンが欲しいの!」

嫁「っ!」

MUR「......そうか。娘はスマートフォンが欲しいのか。でもパパ、スマートフォンはまだ娘には早いと思うなー」

娘(9)「そんなことないよ。クラスのみんなも持ってる子ばっかだもん。私だけ時代に取り残されたくないよ」

嫁「クラスのみんなって、具体的に誰と誰?何人いるの?」

娘(9)「個人情報だから名前は出せないけど、クラスの3分の2以上は持ってるって統計出てるよ? うちのクラスだけなら憲法だって改正できるよ!」

MUR「そうか。よく分からないが、とにかく考えてみるよ」

娘(9)「わーいパパありがとー」

嫁「さ、さあもう寝る時間よ。早くベッドに行きなさい」

娘(9)「うん、分かった!じゃあパパお願いね!おやすみなさーい」トテトテ パタン

MUR「...ふぅ。」

嫁「あなた、どうするの? あの娘にスマートフォンなんて持たせたら...」

MUR「どうすればいいかなんて、俺にも分からない。いつかこんな日が来ると分かっていたのに、俺は何も考えてこなかった。考えるのが、怖かったから...!」

嫁「ねぇ、やっぱりいつまでも隠しきれることじゃないわ。覚悟を決めて話してもいいと思うの。あの子は頭が良いから大丈夫よ。きっと受け入れてくれるわ」

MUR「受け入れる!?」

MUR「受け入れるだと!?9歳の子供が、受け入れてくれると本気で言っているのか!?」


MUR「実の父親が、ホモビ男優だったなんて事実を!!」


嫁「あなた...」

MUR「...怒鳴ってすまない。君には感謝しているんだ。こんな俺の経歴を、君は受け入れて、結婚までしてくれたんだ。どんなに感謝しても足りないよ」

嫁「そ、そうよ。私だって受け入れられたんだから、きっとあの娘だって大丈夫よ」

MUR「でも、やっぱり妻と娘じゃ違うんだよ。賢くなってきていても、あの娘はまだ幼いし...それにあの娘の身体には、ホモビ男優だった俺の血が実際に流れているんだから......」

嫁「あなた...」

MUR「すまない。ちょっと外に出かけてくる。プレゼントのことも含めて、一人で考えたいんだ」

〜夜の公園〜

近所の公園に足を運ぶと、そこには人の気配はなく、虫の鳴き声だけがほんの少し聴こえる程度の静けさがあった。深夜の公園だから当たり前だよな、と一人呟き、俺はベンチに腰を下ろした。

MUR(娘は言っていた。クラスの3分の2以上は既にスマートフォンを持っていると。つまりクラスメイトの誰かが、既にホモビ男優としての俺の顔を知っている可能性がある、ということだ)

MUR(だが俺が娘の父親であることを知っているのは、クラスメイトにはいない。いつかバレるのが怖くて、俺は保護者参観にも運動会にも、顔を出したことが無かったから)

MUR(だから、ホモビが原因で娘がイジメられることはない、ないはずだ。だから結局、俺の心配というのは)

MUR「嫌だ!俺がホモビ男優だったなんて、娘にだけは絶対に知られたくない!」

ベンチに座りながら、俺は頭を抱える。手で抑えよう、抑えようと思っても、頭から悪夢の光景が溢れてくる。
俺がホモビ男優だと知って、俺を嫌う娘の姿。
父親がホモビ男優だった事実にショックを受け、グレてしまった娘の姿。
あるいは、いつまでもスマートフォンを持てず
に、周囲から孤立してしまう娘の姿。

MUR(分かってる。いつかはスマートフォンを持たせてやらなきゃいけないって。現代に生きていて、それは避けられることじゃない)

MUR(でも、娘がスマートフォンを持ってしまったら、いつ俺の正体を知る日が来るか分からない!ニモニモ動画にだって、俺の顔は載っているんだから!)


MUR(嫌だ。嫌だ。嫌だ。娘に嫌われたくない!ずっと今の幸せが続いて欲しい! 運動会にも保護者参観にも、本当は行きたかった! 誰かの前で堂々と、一度でいいから「俺はこの娘の父親なんだ」って言ってみたかった!)

MUR(我慢してきたのに、その為に隠れてきたのに、それでもいつかはバレてしまうのか? この幸せが壊れてしまうのか? ホモビに出ただけで? なんだよそれは)

MUR「ホモビになんて、出演しなければ良かった...!」

??「それは違うぞ、MUR」

MUR「!?」

顔を上げると、目の前に黒いフードを被った男が立っていた。周囲に人の気配は無く、こちらに歩いてくる足音も聞こえなかった。
この男、いつの間にここに立っていたんだ。それとも俺が考えに没入し過ぎていただけなのか。

MUR「だ、誰だよアンタ」

??「寂しいなぁ。もう俺の声を忘れたんですか? 先輩」

そう言うと、男はフードを手に取り、隠れていた顔を晒してみせた。

MUR「お、お前、お前は...!」

その顔を、俺が忘れられるわけがなかった。かつて小遣い稼ぎに出演したホモビで、文字通り裸の付き合いをした男。俺の悪夢を彩るメンバーのその顔を。

MUR「お前......死んだんじゃなかったのかよ!鈴木ぃ!!」

野獣「ネットの情報に踊らされるのは良くないですよ、先輩」

そう言うと、鈴木は俺の座るベンチに片足をかけ、俺の顔を上から覗き込んだ。

野獣「まぁ死んだ、と言うのもある意味正しいな。俺は既に、この世の人間じゃない」

MUR「人間じゃ、ない?」

野獣「今世間を賑わせている失踪事件を知っているだろう」

MUR「あ、ああ。今月だけで100人以上が失踪したという、あれか」

ニューによると被害者は全員若い男性であり、失踪の前に性的暴行を受けていたという話だ。

野獣「単刀直入に言おう。あれの犯人は俺だ」

MUR「なんだと!? い、いったいどうやって」

野獣「悪いがこれはインタビューじゃない。質問に答えるつもりはないよ。いずれ分かることだからな」

野獣「先に用件を言おう。俺は今、ある人物達を潰すために活動している。その仲間に、お前もなってほしい」

MUR「ふざけるな。俺には仕事があるし、家族がいる。そんな訳の分からない話に付き合えるか」

野獣「家族か。俺に家族はいないから共感は出来んが、難儀だよな。家庭という幸せを得たはずのお前は、しかし幸せであるが為に、それ以上の恐怖心に見舞われている。いつかこの幸せが、壊れてしまうのではないか、と」

MUR「なにが言いたい」

野獣「お前がそんな苦しみを受けているのは、一体何が原因だ? どんな罪の結果が、今の罰だと言うんだ?」

MUR「それは...もちろん、ホモビに出演したことだ」

野獣「そこがまず違う。いいかMUR。お前がホモビに出演したこと自体に、落ち度なんてないんだよ」

野獣「何故ならお前は、誰のことも不幸にしていないからな」

10:猫田ねこたむろう[]
野獣「お前は身体を売って、金を得た。そして供給の少ないホモの需要を満たした。狭いコミュニティだからこそ、世間に出演者の顔が広まることもなかった。誰も損していない。みんな幸せだった。しかしそれをぶち壊した人間達がいた」

MUR「っ!」

野獣「お前にも分かっているよな。そう、俺たちの敵はネット住民だ。日常の憂さ晴らしの為に俺たちを笑い者にする、あの無関係の奴らのせいで、俺たちの生活は破壊された」

MUR「ああ、そうだな、そうだったよ」

野獣「俺たちがやったことは、こんな惨めさを強いられるような重い罪だったか? そんなはずはない! これは不当な罰だ! そしてそれを与えているのは、罪の意識も無く俺たちを棒でつつくガキ共ときている! こんなことが許せるものか! 俺が必ず潰してやる!!」

MUR「......!」

野獣「奴らは一度叩いていいと認識した相手に、一切の情けを見せない。MUR、このままいけばお前の家族も、近い将来奴らのおもちゃにされるかもな」

MUR「なんだと!」

野獣「考えたことは無かったのか? お前はいつどこで特定されるか分からない人間だ。もしお前の住所と名前が判明した時、奴らがお前の家族だけを見過ごすと思うか?」

MUR「そんなことはさせない! 彼女達だけは、俺が死んででも必ず守る!」

野獣「だがお前に戦う力は無いだろう」

MUR「...俺が、お前の仲間になってやる。だから、奴らと戦う力を俺に寄越せ! 俺に話しかけてきたのはその為なんだろ!?」

野獣「ふふっ、いい意気だ。だが覚悟はいいか?戦いが終わるまで、家族の元へは帰れないぞ」

MUR「...ひとつ、約束してくれ。全てが終わったら、俺は家族の元へ帰る。その後はもう二度と、俺に関わらないでくれ。俺はホモビと、永遠に縁を切りたいんだ」

野獣「いいだろう。俺は元々、お前のような奴の人生を救う為に戦っているんだ。戦いが終われば、好きに生きればいいさ」

野獣「覚悟が出来たなら、付いて来い。お前に力を与えてくれる人の元へ案内してやる」

MUR「力は、お前が与えてくれるんじゃないのか?」

野獣「ふふっ、俺にそんな能力はないよ。俺自身は、暴れることしか出来ないただの野獣だ」

そう言うと鈴木は踵を返し、俺に背を向け歩きだした。俺もベンチから立ち上がる。

MUR(嫁...娘...ちょっと待っててくれ。パパは必ず帰ってくるからな。今度こそ堂々と誇れるような真っ白な身体になって、パパは必ず帰ってくるから)

進むべき道は、今ははっきりと見えている。視界は驚く程鮮明だ。
どうした早くしろ、と急かす野獣にオウと応じ、俺は前へと歩き出した。迷いも後悔も、ベンチの上に全て置き去りにして。

某県某市 COAT研究所

COAT博士「...というわけだ。理解出来たか?」

彡(゚)(゚)「なるほど、さっぱりや!」

(´・ω・`)「話くらいちゃんと聞こうよおにいちゃん」

COAT博士「......もう一度だけ、説明するぞ」

彡(゚)(゚)「気が効くなババア」

COAT博士「殺すぞ。私はまだ31だ」

彡(゚)(゚)「ギリギリアウトやんけ」

COAT博士「女は熟れてからが本当の女なんだよ。いいから聞け」

COAT博士「今から2ヶ月前、私の『概念を実体化する技術』によって生み出された概念体が、生まれた直後に脱走した」

彡(゚)(゚)「警備ガバガバ過ぎない?」

COAT博士「そいつが今、街という街で次々と人間を襲い、社会に混乱をもたらしている。これからお前にそいつを、野獣先輩と呼ばれる実験体を退治してもらいたい」

彡(゚)(゚)「お前がつくったもんが街で暴れてるって、そら身から出た錆やないか。お前がなんとかせーやアホ」

(´・ω・`)「ちょっと、おにいちゃん!」

COAT博士「...そうだな。お前の言う通り、これは私の責任であり、私が対処するべき問題だ」

COAT博士「だから私はお前を産んだんだよ、なんJ民。野獣先輩に対抗出来る、もう一人の概念体としてな」

彡(゚)(゚)「......。」

COAT博士「人間を含めた全ての動物は、『子孫を残せ』という使命を与えられて産まれてくる。 しかし概念体であるお前は、その枠には当てはまらない。お前に使命を与えられるのは、産みの親であるこの私だけだ!」

COAT博士「その私が命じる!街で暴れている概念体、『野獣先輩を倒せ』! それがお前に与えられた、お前にしか出来ない唯一の使命だ!!」