前編、中編を未読の方はこの作品の前に読む事を推奨します。


---
にこ「【永遠の輝き】ねぇ…」





にこ「ちっとも分かんないわよ!」

花陽「うーん…何かヒントがあればいいんだけど…」

希「怪盗エリーチカの事だからヒントはあると思うけどなぁ…」

ことり「ところで…」

ことり「凛ちゃんはまだかな」


にこ「真姫!あんた何か聞いてないの?」

真姫「聞いてないわよ」

にこ「怪盗エリーチカが来るのは今夜よ!まだ解けてないってかなりまずくない⁉︎」

希「そうはいってもねぇ…」

そう、今は皆で怪盗エリーチカの予告状の意味を考えているところです。

違う部署にいて頭もキレる真姫ちゃんにも来てもらいましたが、それでも謎は解けないまま。一体どういう意味なのかな。


真姫「【永遠】に輝き続けている物を探せばいいんじゃないかしら?」

花陽「永遠って例えば?」

真姫「うーん…大袈裟にいえば太陽とかよね。ないけど」

にこ「太陽とかスケールデカすぎよ…」

希「でも、今回は相当意外なものを盗むみたいやね」

希「カードによると」ペラ

ことり「意外なもの…」


バン!!

凛「遅れてごめんにゃ!」

花陽「凛ちゃん!」

にこ「来たわね、凛」

真姫「名探偵のお出ましね」

凛「ご、ごめんね…ちょっと寝坊しちゃって…」

にこ「寝坊ってもう12時よ!どんだけ寝てたのよ!」

凛「じゅ、14時間くらい…」

にこ「なっが!」

希「まあまあ。折角来たんやし、一緒に考えてもらおうや」

花陽「そうだね」

凛「それで、怪盗エリーチカの予告状ってどれのこと?」

ことり「これだよ」


凛「ふむふむ…」


凛「これは多分、『サニーデイダイヤモンド』の事かもしれないにゃ」

真姫「……」

のぞことにこ「『サニーデイダイヤモンド』??」

真姫「ってあの?」

にこ「なに、知ってるの真姫?」

真姫「ええ。世界でも滅多にないとされる太陽の形をした丸型のダイヤモンド。現在は何処にあるのか、誰が持ってるのかも定かではないわ」

花陽「そんなものがあるんだね…」

真姫「まあ、そもそもこのダイヤモンドの事自体一部の人しか知らないから」


ことり「それが【永遠の輝き】と関係があるの?」

希「うん、それが気になるね」

凛「あのダイヤモンドは、日光で照らすとその輝きが増して保ち続けるって言われてるんだ。」

凛「3分でも光を当てれば丸一日は光り続けてるとか…」

花陽「す、すごい!そんな宝石があるんだね!」

真姫「まあ、あくまでも噂だし都市伝説に近いけど」

希「なるほどな。つまり怪盗エリーチカは、それを盗みに来ると」

ことり「でも、誰が持ってるのか分からないと守れないんじゃ…」

真姫「その心配は無用よ。持ち主なら既に私が知ってるわ」

希「既に?」

にこ「それを早く言いなさいよ!今すぐ向かうわよ、皆!」

真姫「実は、私のパパが持ってるの」

のぞにこことりんぱな「ええええええ!」

ことり「じゃあ、真姫ちゃんの家に行くってこと?」

真姫「そうじゃないわ。私のパパが経営してる病院の工事中に見つかって、そのまま専用の美術館を建設したの。そこに保管されてるわよ」

にこ「西木野家恐ろしいわね…」

凛「じゃあ、今から出発にゃ!早くしないと怪盗エリーチカが来ちゃうよ!」

希「でも、まって」

希「まだそのダイヤモンドって決まったわけじゃないやん。ここで全員が同じとこに固まっても、違うお宝が盗まれるかもしれないやろ?」

にこ「確かにそーね」

凛「でも、じゃあどうするの」

真姫「じゃあ、こうしましょう」

---

真姫「これで良かったの?」

絵里『ええ。うまく誘導してくれて助かったわ』

絵里『まあ、あのことりの事だし警戒はしてると思うけど』

真姫「その通りね。他の人は良いとして、あの子はこんなんじゃ騙されないわよ」

絵里『それでも、時間稼ぎにはなると思うけど』

真姫「元々あんなダイヤモンドなんか無いのに、私としても上手く作り上げたと思うわ」

絵里『そこは流石真姫ね』

絵里『じゃあ、今夜の協力もよろしく頼むわね』

真姫「了解よ」

ピッ

真姫「ふう…」

真姫「二つの顔を使い分けるのも楽じゃ無いわね」







ことり「……」

-----

と言うわけで、『サニーデイダイヤモンド』にはにこちゃんと真姫ちゃんに私(ことり)。

他の可能性も考慮して、自由に動ける(他の場所で待機)のは凛ちゃん、希ちゃん、花陽ちゃんの3人です。



凛「何で凛があのダイヤモンドの護衛につけないんだにゃ!不本意だにゃ!」

希「まあまあ、凛ちゃん」

花陽「そうだよ。あのダイヤモンドの存在に気づいただけでも凄い事だよ!花陽達だけじゃ気づかなかったなぁ」

希「あっちにはことりちゃんや真姫ちゃんもいるし、心配ないよ」

凛「そうかにゃ…」

凛「何か引っかかるんだけど…」

花陽「きっと気のせいだよ」


花陽「そうだ!差し入れとしておにぎり作ってきたんだよ。皆で一緒に食べない?」

希「お、ええやん」

凛「かよちんが作ったの?凛も食べたい!」

花陽「じゃあ、怪盗エリーチカが来る前の元気づけにしよう!」

希(ここには来ない気がするなぁ…)
-----

真姫「着いたわ」

にこ「や、やっぱり凄いわね…」

私たち3人は真姫ちゃんのお父さんが経営する美術館に来ています。

予想はしてたけど、やっぱり見た事ないくらい大きいです。


にこ「でも、ここまで壮大だと警備も頑丈なんでしょ?簡単には侵入できないでしょうね」

真姫「まあその通りだけど…。相手はあのエリー、いいえ怪盗エリーチカよ。あまり関係ない気がするわ」

ことり「ことりもそう思うな」

彼女はどんなに場所が強固で険しくても、ターゲットの為には必ずその姿を現すでしょう。

おそらく。

その勇姿に、ちょっぴりかっこいいと感じてしまうことりです。


にこ「あいつが現れる時間は10時だったわよね?今は5時だから、あと5時間も待ってなきゃいけないのね」

真姫「それは仕方ないわよ。予告状にはそう書いてあったわけだし。それに合わせて待ち伏せしてるしかないわ」

ことり「前回はそれで逃げられちゃったんだけどね」

にこ「まあ、あれは迂闊だったわ。今回捕まえて、ガツンと言ってやるわよ」

真姫「捕まえられればいいけどね」

にこ「何よ!あんた捕まえる気はないの?そんなんじゃ逃げられちゃうわよ!」

真姫「あるわよ!ここで無駄なエネルギーを消耗したくないだけよ」

にこ「無駄なエネルギーですって〜⁉︎」

ことり「まあまあ二人ともその辺にして…」

にこまき「ふんっ!」

ことり「もぉ…」

------

徐々に日は落ちてゆき、街は本来の姿を崩し
変貌してゆきます。夜の姿へ。


そして深い闇を携え、長い夜をじっと耐えてからまた朝を迎える。

自然や人間の歴史は長い時間を経て、少しづつしかし確実に変化をそして影響をもたらしています。でも、その中にも変わらないものだってあります。

朝昼夜の周期や星の座標みたいに。

私達はどうやってそれを、奪う事ができるのでしょう?きっと出来ないはずです。

星は皆のものであり(ある意味でいえば)、太陽は太陽系を照らす共有物なのです。

なんだか哲学的だね。

怪盗エリーチカはそれを示してくれる気がします。何となく。




そして約束の時刻がやってきました。

-----


チクタク…

にこ「あと1分ね…」

真姫「……」

ことり「真姫ちゃん」

真姫「何よ…」




ことり「本当はこの場に『サニーデイダイヤモンド』なんて存在しないんだよね?」

真姫「……!」


にこ「は?何言ってるのよあんた」

真姫「本当よ。藪から棒に何言い出すの」

ことり「嘘。『サニーデイダイヤモンド』は真姫ちゃんが作り出した架空の宝石で、本当はそんなものないんだよ。そのくらい、ことりにもわかる」

にこ「そんな馬鹿な話あるわけないでしょ!ことり、あんた目を覚ましなさいよ!」

真姫「馬鹿な話なんかじゃないわ」

にこ「ま、真姫ちゃん?何言ってるの?」


真姫「ことりの言う通り。それは私が作り出した空想の事実で、実際には存在しないわ。これは警備を混乱させるための嘘だったってわけ」

ことり「やっぱり…」


にこ「……!真姫、あんた、最初から怪盗エリーチカの差し金で私達の中に紛れていたわけね」


真姫「その通り」



真姫「どこで気づいたのかしら?」



ことり「時計だよ」


ことり「ここにある美術館の時計は、実際の時間に合わせてあるようで時間が1時間ずれてるんだ。まあ、携帯を見ればすぐに気がつくものなんだけど」

ことり「にこちゃんが5時間待つ云々の事を言ってたけど、緊張した空気なら案外時間の経ち方なんて気にならなくなっちゃうから」

ことり「時計がずれてる事くらい、真姫ちゃんならすぐ気づく筈だもんね」

にこ「なるほどね。だから、本当は9時なのに私達は10時と思い込んでたわけね」


ことり「あとはことりがエリーチカを追って発信機の反応を見ていた時に、近くに真姫ちゃんがいたのを見たんだ。それで殆ど確信してたけど」

真姫「アジトの近くをウロついてたのは、やっぱりことりだったのね…まさかとは思ったけど」


にこ「じゃあなんでその偽物のダイヤモンドの事を凛が知ってるのよ?」

真姫「それは少し前から断片的に凛へそのつくり話をあたかも真実のように話してたから。そうして凛の意識に刷り込んで行ったのよ」

真姫「この美術館に直接予告状を出しても良かったんだけど、それは色々な理由から断念したのよ」

にこ「色々な理由?」



真姫「ことり、ここまでは遊び。正直この程度なら分かると思ってたし。っていうか、最初から私の正体なんて見抜いてたんでしょ?」

ことり「うん、そうだよ」


にこ「えええ!それを早く言いなさいよ!」


ことり「それは怪盗エリーチカが私に接近しているっていうサインみたいなものでもあったから、無理やり真姫ちゃんを問い詰める真似はしてくなくて」

ことり「あんまり環境を悪くすると絵里ちゃんも近づきにくくなるだろうし」

真姫「じゃあ、一つ聞きたいんだけど」


真姫「【永遠の輝き】って何だと思う?」


ことり「……」






ことり「それは、人によって違うと思う」


ことり「一つの景色をとっても、人によってそれの見え方は違うんだ。それと同じ」

ことり「誰に対しても平等に永く輝いているものって、存在しないんだよ」

ことり「それは価値観とも言うけれど」

にこ「なるほどね。その答えが聞きたくて、わざわざことりをこんなところに引っ張り出して来たと」

真姫「そうよ。正直にこちゃんはおまけみたいな感じよ」

にこ「何ですって⁉︎」

にこ「……ま、いいわよ。でも、そこまでしてあんた達がことりを求める理由は何なの?」

にこ「わざわざ予告状まで出して、ここまでする理由が見当たらないわ」

真姫「それはね」

真姫「エリーにとっての【永遠の輝き】がことりそのものだからよ」

ことり「…‼︎‼︎」

真姫「それ以上の理由がいる?」

にこ「どういう意味よ」

真姫「そのまま」

真姫「エリーは教えてくれなかったけど、よーく考えたら分かったわ。


バリ-ン!!



不意にひびく窓ガラスの割れる音。床に飛び散る破片。

ようやく、お迎えが来たみたい。


金髪を風になびかせ、スマートに館内へ侵入する美女が一人。



絵里「ないわよ」


絵里「貴方を盗み出すのに、それ以上の理由なんていらない」

絵里「そうよね?」

そこには、怪盗エリーチカがいました。


にこ「怪盗エリーチカ‼︎」


真姫「きたわね、エリー」


絵里「ことり。私の大事な人は貴方なの。だから今宵、貴方の全てを盗み出します」

にこ「待ちなさいよ、あんた!」

真姫「駄目よ」

にこ「くっ!」ガバ

にこ「邪魔をしないでよ、真姫!」

真姫「ここを通すわけにはいかないわ」

にこ「ぐぬぬ…」


ことり「…」

ことり「いいよ。ことりも、絵里ちゃんが大切な人だから」

ことり「私を盗んでほしいな」

にこ「…!そうだったのね」

真姫「最早私たちには止める術はないわね」


絵里「じゃあ、行きましょ」

彼女の手を握った瞬間、その温もりが伝わってきました。

怪盗エリーチカではなく、アヤセエリとしての温もりが。

そのまま、二人で地上13階の窓から美術館の外へ飛び出します。



絵里「空の彼方へ」

どこからか彼女が用意していた大量の風船を見にまとい、私たちは空へ飛び立ちました。


絵里「これ、用意するのにすごく手間取ったのよ?わざわざ時間を遅めに設定したのはこれの為なんだから」

ことり「そ、そうだったんだ…。すごいね」


そこには、無数の光が集結し、一つになった景色が広がっていました。

ことり「きれい…」

絵里「でしょ?ずっと見せたかったのよ。あなたに」

彼女は再び私の手を取り、進行方向へと導いてくれます。空中に浮くのが慣れている彼女には、恐怖心みたいなものはないようです。

目的地はどこなのでしょうか?私にも、それはわかりません。しかし私達はゆっくりと、目指すべき方向へむかっていったのでした。

その先には何が待っているのだろう。

浮遊しながら、私は彼女の手をしっかりとつかみ直しました。2度と離れられないくらい。


【続く】




次回で終了予定です。
Twitter→【@gumisslive】