ワイが最初に違和感を感じたのは、店に入った時、というか最初からだった。
美食家の我修院すら知らない、秘境のレストランというのだ。どれ程煌びやかな店だろう、と楽しみにしていたのだが、その期待はハナからへし折られた。

じゅんぺい&まひろ「「いらっしゃいませ」」

我修院「知人から聞いて来たのですが」

じゅんぺい「アッ、伺っております〜。こちらへどうぞ」

まず、出迎えた店員二人の格好がおかしい。袖の無いタキシード? のようなものを、裸の上に直接着ている服装が既におかしい。
しかも下にはズボンも履いておらず、黒地で線の細いパンツを履いているのみであった。そのためか、直立不動の二人は揃って、両手で股間を押さえている。
押さえるくらいならそんな格好すんな、とツッコミたかったが、なにせ秘境のレストラン。無知を晒して恥を掻くのも嫌だし、我修院が先導してソファーに座ってしまったので、仕方無くワイも、ソファーの左側に座った。

我修院「ここでは、誰も食べたことの無いという、極上の料理を提供していると聞いたんだが」

じゅんぺい「ハイ、ありがとうございます。仰る通りでございます。......ンンッ! お客様に相応しい料理を提供させて頂きますので、どうぞお楽しみ下さい」

我修院「もう待ちきれないよ! 早く出してくれ!」

満面の笑みで、我修院が店員に言った。顔には新たな美味へのワクワク感が溢れており、羨ましい程にその瞳は輝いている。
だが、ワイには無邪気に料理を待ち望む程、浮かれることが出来なかった。薄暗いこの部屋の様々な不自然さが、ワイに疑念を抱かせた。
何故、レストランの客室の床がビニールシートなのか。座席がソファーなのは何故か。食卓が、背の低いガラスの円卓なのは何故か。
一度に一組の客までしか対応出来ないであろう、狭すぎる客室は、ワイの目にあまりに安っぽく映った。ガラスの円卓にポツンと置かれた五本の蝋燭の内、一本だけ火が点いていないのも、店内の手抜き感を増している。

彡(゚)(゚)(清潔感や居心地の良さで言ったら、風俗の待合室にすら負けるぞ、こんなん)

じゅんぺい「ハイ、かしこまりました」

まひろ「それでは早速お料理へと参らせて頂きますが、その前に幾つか注意事項があります。当店は、完全会員制レストランで御座います。
もしお客様が、ご友人を招待したいと思いましても、まず当方による確認が必要となりますので、それはご注意下さい。そして、ここでの事は一切他言無用でお願いします」

彡(゚)(゚)(ん? じゃあ飛び入り参加のワイが、なんで入れたんや? 事前の確認も糞も無かったぞ)

まひろ「次に、途中退場は一切認められておりません。例えどの様な料理が出て来ようとも、全て完食して頂けるまで、お返しする事は出来ません。
お残しは、一切禁止とさせて頂きます。もし残した場合は、ペナルティがありますので、そのつもりでお願いします」

彡(゚)(゚)(罰金とかかな。ワイが金払うんとちゃうから、これはあんま関係ないかな)

まひろ「最後になりますが、先程も言いました様に、ここでの事は一切他言無用でお願いします。 もしうっかり口を滑らせる様な事があれば、 その時は命に関わる事になりますので 、お願い致します」

彡(゚)(゚)(ん? 命に関わる? 他言無用? じゃあ我修院の知り合いって、命懸けでこの店のこと教えたんか? つーか料理屋で極秘とか命に関わるとか、頭おかしいんやないか?)

我修院「分かった。とりあえずぅ、もう待ちきれない。早く出してくれ」

命に関わる、という料理屋にあるまじき台詞も、しかし我修院は意に介していないようだ。
不信と不安が募ってきたワイが、一旦外に出ようと腰を浮かしかけた時、店員がグラスの乗ったトレイを持ってやってきた。

じゅんぺい「お待たせ致しました。一品目は、ウェルカムドリンクでございます」

そう言って、店員は机の上にトレイを置く。が、グラスの中は空で、ボトルらしきものも無かった。

彡(゚)(゚)「アホかお前、飲み物なんか無いやんか」

じゅんぺい「これから入れるのでこざいます。......(ボロン」

彡(゚)(゚)「!? ハ、ハアァ!?」

店員が突然、パンツから一物を取り出した。ロクな処理もしていない下の毛の茂みから、赤黒い一物がダランと垂れている。
あるまじき事態に怒りの声を上げる暇も無く、畳み掛けるように更なる事態が訪れた。

ジョロ、ジョボボボコォォォォォーーーッ!

ジョボボボ、ジョロ、シュコォォォーーーーージョボリ、ジョボボボボ!!

店員の一物から、真っ黄色の尿がグラスへと注がれた。店員が糖尿病なのか、あるいは勢いが強かったからか、 グラスの中の尿は非常に泡立っており、一見ビールに見えなくも無い。が、目の前で注がれるところを見てしまっては、それは誤魔化しようもなく小便でしか無かった。

彡(゚)(゚)(意味分からん意味分からん意味分からん!)

我修院とワイの前に、小便の入ったグラスが置かれる。出のキレが悪かったのか、最初に注がれた我修院のグラスに比べ、ワイの分のグラスは明らかに分量が多かった。
人間の小便なんて、飲めるわけがない。食通の我修院に助けを求めようと横を向くと、我修院は平然と小便を飲み干していた。

我修院「うん。非常に新鮮で、非常に美味しい」

彡(゚)(゚)(美味いワケないやろ! 人間の小便やぞ!)

なんだ、これは。食通にとっては、これは普通なのか? ワイが未熟でおかしいだけなのか?
ワイは慄きながら、グラスを持って小便に口をつけてみる。意外と、キツい臭いなどはしなかった。が、舌の先に触れた黄色い液体は、ほぼ水の味の中に仄かな酸味と甘みが含まれており、やはり小便だと思うととても飲み込もうとは思えなかった。

まひろ「お連れ様、ドリンクが減っておられないようですね」

彡(゚)(゚)「いや......ちょっと味わおうと思うて......ゼンブ?」

咎めるように店員が話しかける。我修院ともう一人の店員も、ジッとワイを見ていた。ワイがこの小便を飲み切らないと、先に進めないということだろうか。
異様な空間と、異様な事態に、思考が飲み込まれていくのを感じる。だがワイは、これ以上事態が悪化するのが怖くて、彼らに逆らい難い感覚になっていた。
ワイは意を決して、200mlはあろうかという小便を、一気に喉へと流し込む。薄い酸味が、シュワシュワと音を立てる気泡が、小便を飲むという意識が、胃と喉からの拒絶を起こす。
何度もえづきながら、それでも無理矢理、小便を胃に流し込む。胃の中が、タプタプと小便で満たされていくのが分かる。
グラスを空にすると、店員達が満足気な笑みを浮かべたが、気にする余裕は無かった。小便の気持ち悪さに胃がムカムカと焼け、舌に残る後味が吐き気を催させる。

じゅんぺい「ありがとうございます。こちらは、前菜のデジタルスティックでございます。特製ソースを付けてお召し上がりください」

彡(゚)(゚)(やっと......やっとマトモな飯にありつける......)

机の上に人参、大根、きゅうりの詰め合わせが載せられる。パッと見た限り、スーパーで売っているカット野菜をそのまま出したような代物だが、正直もう、汚く無ければなんでも良かった。
ただの野菜にホッと安堵していると、店員が大きな皿を持ってきて、机に置いた。何事かと思って見ていると、店員はおもむろに裸の尻を皿へと向け......大便を始めた。

ブリュッ、ブリチ、プゥゥ! ビチャビチャビチャ!!

水っぽい薄茶色の下痢便が、深皿に吐き出された。飛沫が皿の外に飛び、机に、床に、野菜スティックへとかかる。
茫然と大便を見つめると、すぐに異臭が鼻をついた。小便の時とは違い、決して無視出来ない強烈な臭みであった。トイレで、隣の個室が大便をした時の臭いを、数倍強くしたぐらいの不快感であろうか。

まひろ「それでは、ごゆっくりと」

人前で堂々と糞を漏らした店員が、気にする素振りも無く言った。この下痢便に、野菜スティックをつけろと言うのか。この下痢便を、ワイの口の中に入れろというのか。
左を向くと、流石に我修院も引いているのか、下痢便を見つめたまま固まっていた。が、強張った面持ちでこちらに向くと、「仕方ない、食おう」といった目配せを送ってくる。嘘だろ。

二人同時に、糞のついた野菜スティックに噛み付いた。芯が固く、何の調理も施していない生野菜を、ボリボリと咀嚼する。咀嚼する度に下痢便のついた部分が、舌の先へ、歯の裏へ、歯茎へと広がっていく。苦味と渋みと、薄い下痢便の水っ気が、ビチャビチャと口内を責め立てる。
不味い。不味すぎる。こんなもの、とても美食ではない。食事ですら無い。横目に、食通の我修院の反応を伺うと、

我修院「うん......エ°ッ!」

我修院にも不味いと見え、軽くえづいていた。

じゅんぺい「どうです? 当店のデジタルスティックのお味は」

我修院「うん。素晴らしい料理だ。初めて食べる味だよこれは。なぁ?」

彡(゚)(゚)(初めて食べるに決まっとるやろ糞なんか!)

じゅんぺい「その割にはぁ、特製ソースが減っていませんねぇ。それでは本来の味を楽しめないのでぇ、もっと付けて堪能して下さい」

そう言うと店員は、下痢便の中の小さな固形部分に野菜スティックを入れ、グチャグチャとかき混ぜ、我修院の口へとねじ込んだ。

我修院「ングゥ......グゥムォォウ......」

じゅんぺい「こちらの特製ソースは? どのようなお味で?」

我修院「おぉう......とても濃厚で、しっかりした味だ.........」

じゅんぺい「そうですか。それではもっと堪能して下さい」

その後10分かけて、ワイらはようやくデジタルスティックを完食した。

〜〜糞・ハンバーグ〜〜

彡(゚)(゚)「.........」

我修院「.........」

次に、メインデッシュと称した、糞をハンバーグの形にこねくり回しただけの糞が運ばれてきた。
とても自分で食す気にはなれず、しばらく口をつけずにいると、店員共に無理矢理口に運ばれた。
最初の一噛みにはブニュッとした弾力があったが、二度、三度と咀嚼すると、ニチャニチャと糞が口のあちこちにへばりつく。
何度も何度も、店員が口の中にハンバーグの形をした糞を運んでくる。糞を含んだ時も、含んでいない時も、口の中には下水の臭いが、糞の味が残り続ける。三度目くらいから、噛むのが億劫となり、運ばれた糞をそのまま喉へと押し込んだ。

じゅんぺい「どうですか?当店の糞・ハンバーグは」

我修院「ひ、非常に......しっかりとした味だ」

店員に感想を求められ、我修院が賛辞を絞り出す。だがこの2分後に、耐えきれなくなった我修院は盛大にゲロをブチまけていたので、きっとそれは大嘘だったのだろう。

〜〜ミート・糞ース・スパゲッティ〜〜

彡(゚)(゚)「あ......あ......」

我修院「うげぇぇぇ......うぇぇ......」

ミートなんて入っていないだろ、といったツッコミを入れる暇も無く、机の上に糞とスパゲッティが混じった茶黒色の料理が運ばれた。
店員共も、ワイらが自力で糞を食う気力が無いと知っているらしく、黙って料理を口に運んでくる。

彡(゚)(゚)「あ......あ......もう嫌だ......もうや......」

口の中に、糞入りスパゲッティが入る。茹で過ぎて歯応えの薄い麺に、下痢便が絡みついた味が、ワイの味覚を激しく責め立てる。

彡(゚)(゚)「ンーッ! ンーッ! マ°ッ!! アァァッ!!」

あまりの不味さに身体が拒絶反応を起こし、味が、背中が引き攣った。今までの糞とは一線を画す、最低最悪の料理であった。

我修院「なんJ民くん! なんJ民くんしっかりしろ!」

我修院が身を案じてくるが、不味さに悶絶しているワイの心には、なんら響かない。それ程に、ミート・糞ース・スパゲッティの酷さは、常軌を逸していた。
まず、糞ハンバーグと違って固形が混じっている分、どうしても飲み込むのに咀嚼が必要になる。その為、より長く、糞料理を口の中で味あわなければならない。
しかもスパゲッティという日常に馴染み深い料理故に、糞の味の異質さが際立ち、味覚的にも精神的にもキツさを増させた。

彡(゚)(゚)「ダレカコロシテクレ......」

じゅんぺい「さ、我修院様もどうぞ」

我修院「いやー、もう十分堪能したよ......」

じゅんぺい「さぁ、じゃあ合図しますんで、ちゃんと、食べて下さいね。行きますよ。はい、じゃあ飲み込んで下さい。」

我修院「うむっ! グゥゥ!! .........ゲェェェェェ!!!(ビチャビチャ)」

まひろ「我修院様いけませんね。そんな粗相をいたしては」

じゅんぺい「これでは食通の名が泣くな! な、お前もそう思うよな?」

まひろ「まったくで御座います。この程度で食通などと」

我修院も、酷い責め苦を味わっていた。奴らの何がそんなに偉いのか、容赦無い罵倒を投げかけている。

我修院 「クソ…」

じゅんぺい 「クソですか?」

我修院 「ハハ…クソ…」

じゅんぺい 「クソですか?」

我修院 「クソ…」

じゅんぺい 「好きになりましたか?」

我修院 「いやぁ…」

じゅんぺい「そっか。じゃあ、まだ堪能してもらおうかな」

我慢の、限界であった。

彡(゚)(゚)「え......ええ加減にせえや......こんな......こんなもの、ただの食事への冒涜や」

まひろ「おや? お連れ様、いかがなさいましたか? まだ、スパゲッティを完食していませんねぇ」

じゅんぺい「お残しをするようなクズに、当店の料理をとやかく言って欲しくありませんねぇ」

彡(゚)(゚)「う、うるせぇ......! せっかくのご飯を、糞まみれにして台無しにしてるのは、お前らやろうが......! 食べ物で遊んでるお前らこそ、料理を語る資格なんか、ない......」

ワイが必死に言葉を紡ぐと、思うところがあったのだろうか。店員達の顔に赤みがかかり、その目をカッと見開いた。

じゅんぺい「これが珍味なんだよぉ!分かるか?好きな奴は喰っちゃうんだよ!」

まひろ「まだデザートが残っていたのですが......仕方ないですね。お連れ様にはペナルティを受けていただきます」

じゅんぺい「ついでに......おい、我修院! お前にもペナルティだ」

我修院「ふぁっ!?」

店員達はそう言うと、バケツを二つ持ってきて、机の上に置いた。
一際異臭を放つその中には......一体いつから溜めていたものだろうか......何人の何回分とも分からぬ凄まじい量の糞が入っていた。しかも何日か放置したものらしく、幾匹も蝿や蛆がたかっていた。