教室にて

幸い玄関から教室に来るまでの間、
雪ノ下や由比ヶ浜に会う事も無く
無事に教室の前まで辿り着いた。

まぁ、教室に入った時点で
由比ヶ浜とは会うんだけどな。
それでも人と関わる回数は
少ないに越した事はない。

比企谷「さてけーちゃん。
けーちゃんは今さーちゃんに
なってる訳だが、教室に入ったら
走っちゃいけないよ?」

川崎「どうしてー?」

比企谷「学校の中は走っちゃ
いけないんだ。先生に怒られるからね」

比企谷「ふーん」

比企谷「あと、はーちゃんを
呼ぶ時は比企谷って呼ぶ事」

川崎「どうしてー?」

比企谷「さーちゃんがそうしなさいって
言うと思うからだよ」

川崎「ふーん」

比企谷「あと、教室の後ろにいる
金髪のお姉さんとその周りの人達には
絶対近寄らない事」

川崎「どーしてー?」

比企谷「うーん、何と言うか…」

これは厄介事を回避する為なのだが、
あまり悪い印象を与えちゃいけないな。
オブラートに包んでみるか。

比企谷「さーちゃんを食べる
オオカミさん達だからだぞ~」ガオ


川崎「わはははは~!」


教室に入る前にけーちゃんと
約束をしていると…


由比ヶ浜「ヒッキー!沙希ー!
ヤッハロー!」

比企谷「ゆ、由比ヶ浜…」

川崎「やっはろー?」

教室の中から
由比ヶ浜が駆け寄ってきた。

由比ヶ浜「二人とも教室に入らないの?」

比企谷「あ、あぁ。そうだな…。
ほら川崎。お友達の由比ヶ浜が来たぞ?
ちゃんとおはようしなくていいのか?」

由比ヶ浜「ヒッキー?何その言い方」

俺の言い方に違和感を覚えたのか
目を丸くする由比ヶ浜。
やっぱ気づいたか…なるべく自然に
振る舞おうとしたんだがな。

川崎「さーちゃんのお友達ー!!」握手

比企谷「はっ!」

由比ヶ浜「あ…う、うん!さーちゃんの
お友達の唯だよ!」

多少の戸惑いがあるものの
どこか嬉しいそうに
自然な返しをする由比ヶ浜。
きっと川崎沙希との距離が縮まったようで
嬉しいんだろう。
でかしたぞ由比ヶ浜。たまには
噛み合うものだ。

川崎「やっはろーってなーにー?」

比企谷「そ、それはだな、
おはようとか、こんにちわって意味だ。
由比ヶ浜はちょっと変わった挨拶を
したがる変わった人なんだ。
でもここは日本だし、
川崎はちゃんとおはようって
言わないとな」

由比ヶ浜「別に変わった人じゃないし!
ってかヒッキー、さっきから
どうしたの?何かいつもと違う」

比企谷「いやそれはその…」

川崎「さーちゃんの教室ー!」

比企谷「あっ!待てけーちゃ…」

目を離すと、川崎沙希になった
けーちゃんが教室に入ってしまった。

由比ヶ浜「あっちょっとヒッキー!」

すかさず後を追う俺。保育園と
違って珍しいのか、けーちゃんは
臆する事無く教室内を探索していた。


川崎「さーちゃんの机はー?」

比企谷「そこだよ。あまり触ると
さーちゃんに怒られるぞ?」

川崎「今はけーちゃんが
さーちゃんだから大丈夫!」ガサゴソ

比企谷「あっこらこら」

戸塚「おはよう八幡♪」

振り向くと、そこには俺の天使こと
戸塚彩加がいた。

八幡「おう戸塚。朝練終わったのか」

戸塚「うん。まだ外は寒いから。
それにしても、八幡今日は珍しいね!」

八幡「珍しい??」

戸塚「だって、僕が教室に戻ると
八幡は基本いつも机に突っ伏して
寝てるから!」

比企谷「それもそうだな」

戸塚「何かしたの?そこは川崎さんの
席だけど」

比企谷「ちょっと川崎に話があってな。
おい川…あれ?」

今さっきまでここに居た
けーちゃんがいない!どこだ!

戸塚「川崎さんならあそこだよ?」

比企谷「え?…うげっ!」


戸塚が後ろを振り向き指をさし、
その先にはこのクラスのナンバー1
カーストグループ、三浦や葉山達がいた。

そして…

川崎「やっはろー!」

海老名「さきさきヤッハロー♪
どしたの?今日は機嫌良いね♪」

三浦「何あんた。頭でも打った?」

戸部「っべー!なーんかいつもの
川崎さんと違うしー!」

葉山「おはよう川崎さん。
俺は良いと思うけどな」

川崎「さーちゃんのお友達ー?」


まずい。あのグループと関わるのは
凄くまずい。いつもの川崎が
普通に挨拶交わす程度なら
そこまで問題無いと思うが、
今の状態で関わったら今後の
川崎の生活に支障をきたす!

比企谷「くっ!」ダッ

戸塚「あ、ちょっとはちまーん」

川崎の学校生活を守る為に
クラスから川崎沙希を連れ去ろうと
葉山達のグループへ突撃する俺。

《川崎さん、あいつに連れ去らて
変な事されるんじゃない?》

《うっそーかわいそー》

お互いぼっちだが、知名度的にも
ビジュアル的にも絶対クラスは
川崎側に立つだろう。
俺の学校生活、明日から大丈夫かな。
学校の掲示板に指名手配されないよね?
帰ったら小町を見て癒されよう。
そして雄弁に語ろう。
お兄ちゃん、川崎の未来を守ったんだぜ?








平塚「川崎ー。川崎は来てるかー?」

川崎「?」



比企谷「せ、先生…」


カーストグループに踏み込む
三歩手前、奉仕部の顧問
平塚先生が現れた。