橋田「なあなあオカリン」

岡部「なんだダル。俺は混沌計画書の作成で忙しいと言っただろう」

橋田「そのレポートの提出期限は今週じゃなくて来週だお」

岡部「なに?・・・勘違いか。無駄に張り切ってほぼ終わらせてしまったではないか。ええい、今日はもうやめだ」

橋田「いや、早いに越したことはないだろ常考。それよりも時間ができたならこっちを手伝ってよ」

岡部「研究室にこもってたからエロゲでもしてたと思っていたが、何をしていたのだ」

橋田「ちょっとした閃きからガジェットを作ってたんだけど、機能の感想を聞かせて欲しいんだお」

岡部「見たところ携帯電話のようだが」

橋田「これ自体は携帯電話だけど、内蔵アプリがガジェット本体。名付けて『SNE.Ver1.23』だお」

岡部「SNEの意味と機能は?」

橋田「それなんてエロゲ、略してSNE」

岡部「・・・機能はなんだ?」

橋田「スルーかよ。このアプリを起動した状態で誰かと通話、あるいは持った状態で会話することで、対象の人物との好感度を数値化できるという超優れものなんだお」

岡部「まさにそれなんてエロゲ、だな。どういう仕組みなんだ?」

橋田「ネット上に転がってた、『声のトーンと感情の紐付き』っていうデータをベースに対象の感情起伏を数値解析するプログラムをぶち込んでるお」

岡部「好感度の基準値は?」

橋田「顔見知り程度の人を好感度50として、0から100まで推移するぜ。0なら親の仇、100なら結婚待ったなし、って感じ」

岡部「ふむ、面白そうではないか。動作テストには協力してやろう」

橋田「あざーす。じゃあアプリをインスコするから、携帯借りるお」

岡部「ほれ」

橋田「・・・ほい、完了。初めての場合は起動して1分くらい話せば対象人物の現在値が出るから、そこからは会話ごとに加点減点されていくお」

岡部「良い会話をすれば好感度が上がっていくという訳か。今度は会話の選択肢も出るようにして欲しいものだな」

橋田「そこは脳内補完で頼む。サンプルは多いほど良いから、とにかく数をこなしてくれよな」

岡部「ああ。・・・ちなみにダルよ、お前の好感度は65と出たぞ」

橋田「ちょ、僕にも試したのかお。か、勘違いしないでよね、仲の良い友達くらいなんだから!」

岡部「気持ち悪い声を出すな。・・・しかし、これは対象には秘密にしたほうが良さそうだな。特に助手辺りには開頭されかねん」

橋田「禿同。じゃあ僕の携帯にデータが飛ぶように設定しておくから、記録は対象人物の名前をつけて保存でよろしく」

岡部「分かった。・・・む、気付けば昼時ではないか。サンボに行くが、お前も来るかダルよ」

橋田「僕はついさっきサンボに行ったばかりだお」

岡部「そうか。では少し出てくる。出かけるなら鍵はいつものところに頼む」

橋田「オーキードーキー」

橋田「・・・・・・」
橋田「・・・これで、いいのかお」

紅莉栖「上出来よ。会話はシャワールームから聞いていたわ。それで、アプリの数値操作は指示通りかしら?」

橋田「指示通り、ラボメンガールズのみ好感度が逆転するようになってるんだぜ。60なら40、70なら30といった具合だお。牧瀬氏以外は、だけどな」

紅莉栖「ご苦労様。お望みのデータはこのチップに入ってるわよ」

橋田「うひょー。フェイリスたんのプライベートショットがこの手に!滾る、滾るお!」

紅莉栖「さて、ここまでは計画通り。一度、退散するとしましょうか」

橋田「デュフフ。牧瀬氏、あんた、最高にマッドだぜ」

紅莉栖「そうよ。私は狂気の、いえ凶真のマッドサイエンティスト。岡部を手に入れるためなら過程や方法なぞどうでもいいのだァーー!」

橋田「ねらー乙」

―――
――


岡部「さて、このアプリを試すべくメイクイーンに来たは良いが、まゆりはいないようだな」

フェイリス「にゃにゃ。キョーマはフェイリスだけじゃ不満かにゃ?」

岡部「ふん。この俺の相手は猫一匹では務まらんと言っているのだ」

フェイリス「くふふ。昨日までのフェイリスだと思ったら大間違いだにゃ。前世の記憶を思い出したフェイリスには、禁断の秘技を使えるようになったのにゃ!」

岡部「ば、馬鹿な。お前の記憶はこの俺が十三もの封印をしていたはず!それを猫娘ごときに解ける訳が」

フェイリス「あ、ごめんキョーマ。新しいご主人様お帰りにゃさいませー!」

岡部「って、おい。・・・まあいい。この隙にフェイリスの好感度を確認するとしよう。えーと、これか」

【フェイリス・ニャンニャン → 30】

岡部「・・・30?」

岡部「・・・・・・30、とは。50が顔見知りだから、それ以下ということか?・・・アプリ内に数値の説明があるな」

100:結婚待ったなし。もはやヤンデレ。
90:いつでもどこでもあなたに夢中。
80:好きってことだよ。言わせんな恥ずかしい。
70:親友。異性なら恋心もあるんだぜ。
60:仲の良い友人。
50:友達の友達。
40:顔が気に入らない。
30:存在が気に入らない。
20:見るだけで虫唾がランナウェイ。
10:ゲロ以下の匂いがプンプンするぜ。
0:全てを憎む。

岡部「・・・まったく、ダルめ。バグを消しきれてないようだな。・・・だよな?」
岡部「だが、ダルの数字は妙に現実的だったな」
岡部「・・・・・・」
岡部「・・・サンプルを増やしてみよう」

フェイリス「あれ、キョーマ。もう行くのかにゃ?」

岡部「ああ、すまん」

岡部(あの数字が正確なら、俺が来るのも内心は嫌がっているのだろうか)

フェイリス「・・・キョーマ、ちょっとこっちに来るにゃ」

岡部「お、おい。引っ張るな」

岡部「なんだ、裏口まで連れてきて。店の連中が目を丸くしていたぞ」

留美穂「岡部さん、どうかした?」

岡部「・・・猫耳を外したということは、今は留美穂という訳か」

留美穂「うん。岡部さん、急に元気なくしたから、さっきのことに怒ったのかと思って」

岡部(さっき・・・ああ、話の途中で抜けたことか)
岡部「安心しろ、あの程度で怒るほど、この俺は小さくはない」

留美穂「本当?」

岡部「本当だ。お前なら分かるだろう?」

留美穂「・・・うん、本当だ。ごめんね、早とちりしちゃったみたい」

岡部「気にするな。お前が忙しいのは知っている」

留美穂「それもだけど、岡部さんのことになると些細なことでも気になるの。いつも、見ているから」

岡部「ふむ。心配性が過ぎるが、その心意気は他のラボメンにも見習わせたいところだな。さて、あまり店を空けるとまずいだろう」

フェイリス「あ、そうだね。・・・キョーマ、今度はゆっくりしていくにゃ!」

岡部「約束しよう、フェイリス」

フェイリス「またにゃー!」

岡部「・・・行ったか。あの態度なら少なくとも嫌われているようには思えんが。もう一度確認してみよう」

『秋葉留美穂 → 20』

岡部「・・・悪くなった、というよりはフェイリスと留美穂の違いか。どちらにせよ数値上は嫌われている」
岡部「確証を得るにはサンプル数を増やすしかあるまい。・・・他を当たるか」

―――
――


岡部「今日も境内の清掃か、ルカ子よ」

るか「あ、おか・・・凶真さん、こんにちは。今日はどうされたんですか?」

岡部「これといって用事がある訳ではないのだが、近くに寄ったのでな。お前の顔を見に来ただけだ」

るか「ぼ、僕をですか。・・・嬉しいです、凶真さん。僕は友達が多くないので、こうして足を運んで下さる凶真さんにはいつも感謝しています」

岡部「なに、ラボメンの様子を見るのも所長の役目だ。最近は変わりないか?」

るか「えと、特にはないですけど・・・あ、木刀の素振りが上達しました!まゆりちゃんにも様になっていると褒められています」

岡部「鍛錬は嘘をつかん。健全な肉体には健全な心が宿るというし、今後も続けるのだぞ」

るか「はい!」

岡部「いつかはMr.ブラウンのような体になるのも夢ではあるまい」

るか「それはちょっと」

岡部「む、すまん。メールを返させてくれ」

るか「あ、はい」

岡部(ルカ子とは定期的に話しているが、俺のことを慕ってくれている・・・ように思う。流石にさっきのような結果は)

【漆原るか → 21】

岡部「マジかよ」

るか「岡部さん?」

岡部(ダルのミスという可能性はまだ否定できないが、いよいよを持って現実味が増してきたな)

るか「あ、凶真さん?」

岡部(受け入れる心の準備が必要かもしれん)

るか「あ、あの。何か気に障りましたか?」

岡部「ああ、すまん。少し考え事をしていただけだ」

るか「そうでしたか。あの、これから鍛錬をするんですが、もしよろしければ監督して頂けませんか?」

岡部「・・・いや、これからラボで片付けなければならない用事があってな。また今度付き合おう」

るか「そうですか・・・」

岡部(残念そうにしている、俺にはそう見えるが、違うというのか?)

るか「また今度、お願いしますね」

岡部「ああ、約束しよう。ではな」

るか「はい、お気をつけて」

―――
――


岡部「ラボの前まで戻ってきたが、入る前にだ。ブラウン管工房でSF(シャイニングフィンガー)にも確認してみるとしよう」
岡部「あいつとは大量のメールをやりとりしているが、無口な奴だけに何を考えているか分かり難い。今回の実験対象としてはうってつけなのだが」

萌郁「・・・岡部君」

岡部「ぬおっ・・・と、SFか」

萌郁「・・・・・・」メルメル

岡部「またメールか。・・・そのあだ名はやめて欲しい、か。なら、メールで話さずに口で話せ。苦手だとしても慣れなければならんだろう」

萌郁「・・・・・・」メルメル

岡部「おい」

萌郁「・・・努力、する」

岡部「ああ。俺相手なら変なことをしても気にするな、萌郁よ」

萌郁「!・・・名前、呼ばれたの初めてかも」

岡部「そうだったか?嫌なら苗字で呼ぶが」

萌郁「・・・ううん、名前で。名前が良い」

岡部「そうか。ところでバイト中じゃないのか。Mr.ブラウンは不在か?」

萌郁「・・・店長は綯ちゃんを迎えに行っている。少しなら、大丈夫」

岡部「鬼の居ぬ間に、ということか。しかし、こんなマニアックな店に客なんぞ来ないだろう」

萌郁「・・・三人だけ」

岡部「もう午後にも関わらず三人しか客が来ていないのか」

萌郁「違う。私が働き始めてから三人」

岡部「・・・転職、真剣に考えたほうが良いぞ」

萌郁「店長に、岡部君から勧められたと言っておく」

岡部「き、貴様、それだけはやめろ!」

萌郁「ふふ」

岡部「・・・その笑顔が常にできれば、接客も大丈夫そうだな」

萌郁「・・・私、笑ってた?」

岡部「ああ。だがおかしいことはない。小動物、綯の前でも笑ってやれ。あいつは恐がりだから、仏頂面では恐がるかもしれん」

萌郁「なら・・・また、会話に付き合って欲しい」

岡部「構わん。俺は多忙だが、可能な限り時間を割くことを約束しよう」

萌郁「うん。約束」

萌郁「さて、すまんが俺はラボに用事がある。お前もいつでも来るが良い」

萌郁「分かった。またね、岡部君」

岡部「・・・・・・」
岡部「ラボに入る前に萌郁の好感度を確認しておくとしよう。この世界線では付き合いが長いわけではないから、好かれずとも嫌われる要素も無いはずだが」

【桐生萌郁 → 41 → 36 → 29】

岡部「・・・会話が苦手なのに無理やり話したせいか。良かれと思った行動は結果としてお節介。空気の読めないのが嫌われている原因、か。は、ははは」

岡部(これでサンプルは4人目。本人に確認したダルの好感値は正確と見ていいだろうし、このアプリに不具合は無いとみるべきだ)

岡部「俺、嫌われていたんだな」

―――
――


まゆり「あ、オカリン。トゥットゥルー」
岡部「まゆりか。1人か?」

まゆり「うん。私が鍵を開けたのです」

岡部「そうか。まゆり、お前が1人でラボにいる時は鍵を閉めておけ。防犯上、良くないからな」

まゆり「うん、分かった。えへへー、まゆしぃはオカリンに心配されちゃったー」

岡部「ち、違う。このラボには貴重な発明品ばかりだからでだな」

まゆり「ツンデレ乙、だよー」

岡部「誰がツンデレだ。まったく、ダルの悪いところに影響を受けているな。それとも助手か」

まゆり「ねえ、オカリンはどこにお出掛けしてたの?」

岡部「昼飯を食べた後にメイクイーン、漆原神社、ブラウン管工房の順に回っていた」

まゆり「じゃあラボメンの皆に会ってたんだね。オカリンが来てくれたら喜んだだろうねー」

岡部「っ!・・・そうかもな。今日は出勤か?」

まゆり「うん。あとちょっとで出ないと。でもオカリンが来てくれてよかったー。ラボに誰も来ないままだったら、まゆしぃがっかりなのです」

岡部「事前に連絡すればいいだろう」

まゆり「あ、そっかー。ラボに行くぞーって気持ちになったら、足を動かすことしか考えられなくなっちゃった」

岡部「まったく、少しは計画性というものをだな」

まゆり「でもでも、オカリンに会えたから問題無しだね。オカリン来ないかなーってまゆしぃがお願いしてたからだね」

岡部「俺に用事があったのか?」

まゆり「んー?何となく会いたかっただけだよ」

岡部「・・・そうか」

まゆり「あ、もう行かなくっちゃ。オカリン、またね。あんまり頑張り過ぎちゃダメだよ?」

岡部「ああ、心配無用だ。俺は狂気のマッドサイエンティストだからな」

まゆり「ふーははは、だね。それじゃあ行ってきます」

岡部「・・・・・・」
岡部「・・・・・・」
岡部「・・・見てみるか」

【椎名まゆり → 12】

岡部「・・・く」
岡部「くく、ははは、はーはっはははははははは」
岡部「はははははははははははははははははははははははははは」

岡部「なんだよ、これ。嘘だろ・・・?まゆりは幼馴染で、人質で、あいつのために俺は世界線を何度も越えて!」
岡部「・・・いや、俺の望みは違う。まゆりが生きてさえいれば良い、それだけだったはずだ。この居心地の良い環境に浸かって甘くなったのは俺の方だ」
岡部「例えそれが仮初の安楽であったとしても」

岡部「ラボメンが全員生きている、それで良いじゃないか。これから、心を入れ替えて好感度を上げていけば良いんだ。このアプリ『SNE.Ver.1.23』があれば感情を可視化できる」
岡部「あとは紅莉栖の好感度も記録しておこう。それで、やりなおそう」

Prrrrrr

岡部「電話、知らない番号だが。・・・もしもし」

?『あ、繋がった。岡部倫太郎?』

岡部「そうだが。ノイズが酷い、誰だ?」

?『初めまして、でいいのかな。私の名前は橋田鈴葉。未来から電話を掛けている』

―――
――


岡部「・・・色々聞いたが、お前がダルの娘である鈴葉であることは間違いないようだな」

鈴葉『よかったー、信じてくれて』

岡部「それで用件は何だ?」

鈴葉『うん。その前に現状確認だけど、岡部倫太郎は父さんの作った未来ガジェット『SNE.Ver.1.23』を牧瀬紅莉栖以外のラボメンに使用した。合ってる?』

岡部「ああ」

鈴葉『今も起動しているなら、私の好感度を確認してみて』

岡部「・・・少し待て」

【橋田鈴葉 → 85】

岡部(高っ!・・・数値上は恋愛対象で間違いないが、未来の俺は何をしているのだ)

鈴葉『いくつだった?』

岡部「・・・85だ」

鈴葉『ええ~?おかしいなぁ』

岡部「やはり誤作動か。このノイズではな」

鈴葉『もっと高いと思ってたんだけど』

岡部「そっちかよ!」

鈴葉『うん。私は岡部倫太郎に夢中だしね。でも君、全然相手にしてくれないからさ』

岡部「当たり前だ。年の差を考えろ」

鈴葉『まあそれは置いといて。そのガジェットはかなり正確だということが証明された』

岡部「・・・そうか。お前が言うのなら間違いないのだろうな」

鈴葉『さて、本題。私が君にコンタクトをとった理由はひとつ。・・・戦争だよ』

岡部「ば、馬鹿な!?俺が、俺とお前で防いだ第三次世界大戦がシュタインズ・ゲート世界線でも起こるというのか!」

鈴葉『あ~違う違う。戦争っていうのはね、岡部倫太郎争奪戦のこと』

岡部「・・・すまん、ノイズが酷いようだ。もう一度頼む」

鈴葉『岡部倫太郎争奪戦』

岡部「聞き間違いであって欲しかった。未来ジョークならやめろ」

鈴葉『違うよ。これはね、ラボメンが君を奪い合う戦争で、今まさにその時代で起こっている。もちろん、恋愛的な意味だよ』

岡部「色々と言いたい事はあるが、お前の目的がそうだとしよう。だが、『SNE』でそれ無いとは証明されている。・・・俺はラボメンのほとんどに嫌われている」

鈴葉『それこそが私の目的。紳士的であるはずだった戦争の裏で秘密的に投入された悪魔の兵器。それが・・・』

岡部「『SNE』だというのか!・・・って知らんわ。シリアス調に言ってもアホにしか聞こえんぞ」

鈴葉『要するに『SNE』の数値は改竄されている。開発者である父さんが牧瀬紅莉栖に買収されてね』

岡部「なに?」

鈴葉『つい先日、父さんが口を滑らせてね。牧瀬紅莉栖には秘密で報告した時の皆の怒りようって言ったら凄かったよ。父さんなんかまゆり姉さんにミンチにされたし』

岡部「・・・具体的にはどんな改竄が?」

鈴葉『数値の逆転。60なら40、70なら30といった具合に表示される。牧瀬紅莉栖を除いてね。皆に嫌われていると勘違いした中で、1人だけ自分を好いてくれる環境にあったらどうなると思う?絶望の谷に垂らされた蜘蛛の糸だよ』

岡部(確かに先程まで俺は絶望していた。そして、恐らくは紅莉栖にも嫌われているだろうと予想していた。それが逆の結果であったなら、どうなるか)

岡部「話は分かった。それで、お前はどうするつもりなのだ?」

鈴葉『もう終わり。私は真実を伝えるだけ。別に君が牧瀬紅莉栖を選ぶのは構わない。それが公平な環境下であればね。これはラボメンガールズの総意だよ』

岡部「そうか。いや、だが助かった。あの数字には正直かなり絶望していたからな」
(しかし逆転しているとなるとラボメンガールズのほとんどが俺に好意を持っていることになるが。それにルカ子も。・・・これは後で考えるとしよう)

鈴葉『まあ私は君が誰とくっついてもやることは変わらないしね。あ~、でもまゆり姉さんはキツイな。殺されるかもしれない』

岡部「気になる言葉はあるが、未来については追求しないとしよう」

鈴葉『あははー。そうだ、最後にひとつ。もう少し、私のことも真剣に見てあげてね』

岡部「・・・善処しよう」

鈴葉『約束だよ、岡部倫太郎。じゃあまた、未来でね』

岡部「ああ。またな」

岡部「・・・・・・」
岡部「さて、紅莉栖とダルに罰を与えねばならんな」

―――
――


橋田「正直すまんかった」

岡部「貴様、その程度の謝罪で済むと思っているのか。お前が何で買収されたかフェイリスにばらしても良いのだぞ」

橋田「本当に!申し訳っありませんでしたぁ!!!」土下座

岡部「ふん。しばらくはこき使ってやるから覚悟しておけ」

橋田「マジすまんお。でもオカリン、どうやってこの情報を知ったん?」

岡部「この鳳凰院凶真は全知全能。この俺に隠しごとなどできぬと知れ」

橋田「かっけえー。鳳凰院さんマジかっけーっす」

岡部「早速だが、首謀者である助手にお灸を据えるのに協力しろ」

橋田「イエス・サー」

岡部「どうせ奴も『SNE』を使っているのだろう?」

紅莉栖「うん。僕はプログラミングしただけで考案は牧瀬氏ですしおすし」

岡部「なら、こうするのだ」

―――
――


紅莉栖「ハロー、岡部」

岡部「助手か」

紅莉栖「助手ではないと言っておろーが。岡部ひとり?」

岡部「ああ」

紅莉栖「何だか元気ないわね。どうかした?」
紅莉栖(理由は知っていますけどねwww皆に嫌われていると勘違いして落ち込んでる岡部可愛いよペロペロwww)

岡部「いや、そんなことはないが」

紅莉栖「岡部は分かりやすいのよ。まゆりと喧嘩でもした?」
紅莉栖(でも大丈夫、私だけは高好感度だから。さあ『SNE』を起動しなさい)

岡部「いや、そんなことはない。・・・少し、メールを返させてくれ」

紅莉栖「ええ」
紅莉栖(キタコレwwwおっと、ネットスラング出ちゃった、自重自重wwwあ、私も日課である岡部の好感度チェックしないと)
紅莉栖(ん?橋田からのメールに『SNE』のバージョンアップ版がメール添付されてる。内容はバグ取りによる若干の精度向上か。一応、しておこう)

紅莉栖「岡部、今日は他に誰も来ないの?」
紅莉栖(よし、完了。さて、測定しますか。何たって私に対する岡部の好感度は80超。好きだってことだよ言わせんな恥ずかしいwww)

岡部「特に連絡は無い。ダル辺りはそのうち来るかもしれん」

紅莉栖(マジで恥ずかしいwwwお、出ました今日の結果。えーと)

『岡部倫太郎 → 86 → 65 → 52』

紅莉栖「」

岡部(ククク。間抜けは見つかったようだな。何が『岡部は分かり易い』、だ。自分の今の顔を鏡で見たほうが良いぞ。操作された好感値に踊らされた顔をな!)

紅莉栖「」

岡部(しかし、紅莉栖の好感度は・・・ヤバイな)

『牧瀬紅莉栖 → 100 → 100 → 100 → 100 → 100 → 100 → 100』

岡部(上限である100なのに上昇更新し続けている。完全にストップ高ではないか。好感度100は半ばヤンデレらしいが、間違いなくヤンデレだろこれ)

紅莉栖「なんぞ・・・これ」ぼそり

岡部「何か言ったか牧瀬?」

紅莉栖「牧瀬ぇ!?な、なんでいきなり苗字呼びなの!?」

岡部「いや、お前が変な名前で呼ぶなと言うから・・・む、すまん電話だ」
紅莉栖(い、いったい何が起こっているの?こういう時は整数を数えて落ち着くのよ。1、2、3、4、5、6・・・)

岡部「俺だ。・・・ああ。・・・構わん。では明日、お前の家に行こう。・・・うむ。では仕事頑張れよ、萌郁」

紅莉栖「萌郁ぁ!?」

岡部「うお!いきなりでかい声を出すな馬鹿者」

紅莉栖「いつから桐生さんを名前で呼ぶようになったのよ!?ていうか家?桐生さんの自宅に行くの?」

岡部「呼び名は本人の意向だ。萌郁はいわゆる、片付けられない女でな。話の流れで掃除の手伝いをすることになった。ラボメンの生活管理も所長の務めだ」

紅莉栖「だとしても1人暮らしの女性の家に行くのは」

岡部「ラボメンに対して不純なことはしない。どうも信用がないようだな」

紅莉栖「いや、そんなことは。岡部のことは信用しているわよ。・・・少なくとも異性の中では一番くらいに」
紅莉栖(私のデレ来た!これで勝つる!)

岡部「む、また電話か。すまんな」

紅莉栖(スルーされた。・・・おかしい、岡部の反応が淡白すぎる。もう一度、好感度を測定してみよう)

『岡部倫太郎 →86 →65 → 52 →46 → 39 』

紅莉栖「オワタ」
紅莉栖(原因は一体・・・好感度が高すぎて引かれたとか?感覚的に私の岡部に対する好感度は90くらいだと思うんだけど。まだ好きになる自信あるし)

岡部「分かった、泊まりで雷ネットの特訓だな。ではな、留美穂」

紅莉栖「それ、誰」

岡部「ああ、お前は知らんのか。今のは・・・いや、勝手に言うのもな。秘密だ」

紅莉栖「・・・・・・・・・そう」

岡部「牧瀬?」

紅莉栖「・・・・・・」

岡部「おい・・・な!?」
岡部(無言で号泣してる!!?)

岡部「い、いかん、ダル!やばい、例のものを急ぎで持て!」

橋田「研究室から参上、ダルしぃだお!ドッキリ大成功!」パッパパー

岡部「お願い、何でもするから。だから岡部、私のことを嫌わないで」

橋田「ん?今何でもって」

岡部「ダル」

橋田「さーせん」

―――
――


紅莉栖「つまり、あの数字は完全に嘘っぱちだった訳ね」

岡部「ああ。お前のことは嫌っていないから安心しろ。呆れてはいるが」

紅莉栖「嘘の数字で騙すなんて」

橋田「本日のお前が言うなスレはここですか」

紅莉栖牧瀬「そして橋田ぁ。よくも裏切ったわね」

橋田「もう買収には屈しないお。フェイリスたんの写真もまゆ氏経由で返してもらったし」

紅莉栖「・・・っち」

岡部「元の原因はお前だぞ。俺が味わった苦しみを理解できただろう」

紅莉栖「・・・そうね。ごめんなさい、岡部。完全に暴走してた」

岡部「お灸は据えたからな、もう追求はしない。だが、妙な実験はも今後一切禁止だ」

紅莉栖「・・・最後にもう一回、好感度を見ても良い?」

岡部「それは無理だ。ダル、時間は?」

橋田「とっくだお。さっき送ったアップデートは数字改竄だけでなく、時間経過でアプリ消去される仕組みだから。バックデータもオカリンに消されたしね」

紅莉栖「そんな・・・」

岡部「アプリを使った俺が言うのでは説得力も無いが、ああいうものは自分の気持ちで判断すべきだ。人の気持ちを数字で表すのは良くないことだと、今回の件で学んだだろう」

橋田「偉い人は言っていた。考えるな感じろ」

紅莉栖「岡部がそういうなら、仕方ないわね」

橋田「僕がスルーされた件について」

紅莉栖「ねえ岡部。もう牧瀬なんて他人行儀に呼ばないでよね」

岡部「ああ。俺も呼んでいて違和感ありありだったからな。今後も助手として」

紅莉栖「だめ。きちんと名前で、紅莉栖と呼んで」

岡部「ぐっ・・・。どうしてもか」

紅莉栖「どうしてもよ。桐生さんや留美穂さんとやらも呼び捨てだったじゃない」

橋田「なぬ。フェイリスたんの・・・いやいやフェイリスたんはフェイリスたん。他の名なぞ存在しない」

紅莉栖「ああ、フェイリスさんだったの。とにかく、私以外は名前で呼ぶのにおかしいじゃない。はい、論破」

岡部「しかし、今まで名前で呼ばなかったせいか慣れなくてな。しかしまあ、努力はしよう・・・紅莉栖」

橋田「わかったんだぜ、紅莉栖」

紅莉栖「お前は苗字で呼べ」

橋田「酷すぎだろ常考」

紅莉栖「橋田に名前で呼ばれるのは逆に不自然よ。だいたい、あんたのキャラじゃないでしょう」

橋田「いやーそうだけどさー」

岡部(やれやれ。これで鈴葉からのミッションは完了した。だが、ラボメンについて考えることが増えてしまったな。だが、俺は自分の意志ですべてを選ぼう)

岡部「そう、すべてはシュタインズ・ゲートの選択なのだから」