空一面に広がる雲。冷気が漂う町。その姿は、普

段見るよりもずっと閑散としていて。まさに冬景

色とでも言うべき光景が広がっていた。昨日にこ

が言っていた通りね。


〜昨日の夕方〜

にこ「明日ゆきらしいわよ。」

絵里「それ本当?」

にこ「嘘ついてどうするのよ」

スマホの画面を見ながら歩くにこは、ふと呟い

た。
絵里「確かに最近冷え込みが激しいけれど」

絵里「そんな急に降るものかしら?」

お揃いの手袋をして一緒に帰る私たちは、まるで

お似合いのカップルみたいね。いや、カップルな

のだけど。勿論メンバーには

秘密。

にこ「そんなもんじゃないの?」

宙に舞うツインテールは、ぴよこぴょこ可愛らし

い。…ってにこのことばかり考えてるわね私。側

にいるんだからもっと話しなさいよ。

にこ「去年は休校になったし、今年も激しくなったらいいのにね」

絵里「でもそれだと、μ'sの練習が出来ないわよ。」

にこ「たまにはいいのよ」

絵里「それに、授業中が無くなったら…」

絵里「にこと会えないじゃない」

にこ「も、もう//そんなの知ってるわよ!」

顔を背けたが、一瞬紅色に頰が染まったのを私は

見逃さなかった。

こんな感じで、にこは突発的な攻撃に弱いのは私

しか知らないことだわ。

明日の予約、完了ね。

❄︎❄︎❄︎
そうして、今に至る。手袋はいつも通りつけてき

たけれど。
絵里「傘持ってくればよかったわね」

そう、雪が激しくならない代わりに雨が降り始

め、視界は悪く足元は雪でツルツル。とてもじゃ

ないけれどこんなの、傘無しじゃ歩いて行けない

わ。

絵里「困ったわね…」

今は通学路の途中にあるコンビニの下で雨宿り。

この天気のせいか、コンビニに出入りする人の数

はいつもより多いみたい。皆疲れ切った顔をし

て、カイロやら弁当やらの必需品を買っては出て

行く。お勤めご苦労様です。

〜〜
10分たったけど、雨は激しくなるばかりで一向に

天気は回復せず。このままじゃ遅刻しちゃうわ

ね。誰かに電話して傘を持ってきてもらうという

手も無くはないけれど、この雪だし申し訳ない

わ。コンビニの傘は売り切れてるし、そもそも財

布を家に置いてきているところから私はポンコツ

だと思い直す。

仕方ないわね、エリーチカ。

一旦家に戻ろう。それしか無いわ。

この雪だともしかしたら学校が無くなることも考

えられるし、賢明な判断だわ。

鞄を持ち直し、手袋ごしにポケットから出したカ

イロを握りしめて。覚悟を決めていくのよ、私!

コンビニから数歩踏み出した直後に、

「なにやってんのよ、絵里。」

聞き慣れた声。足を止めてあたりを見回してみる

と、すぐそこにはーー

にこがいた。

にこ「バッカじゃないの!何傘も無しに出歩こう

としてるのよ!風邪ひくわよ!」

絵里「いや、傘を忘れちゃって…」

にこ「見ればわかるわよ!」

身長は私より低いはずなのに。何故かにこは凄く

頼もしく見える。伊達に子供の世話をしてないっ

て訳ね。
にこ「ほら早く、私の傘に入りなさいよ。そんな

ところで立ってたら寒いわよ。」

絵里「ありがとうね、にこ」
そう言って、にこの直ぐそばまで近づく。不思議

と、体温が上がっていくのが感じられる。こうい

うのって相合傘って言うのよね。
にこ「このまま、わたしの家に来なさいよ。こっ

からだと絵里の言えばまだ遠いわよ?」

絵里「いいのかしら?お邪魔させてもらうわね」

寒いけれどあったかい。そんな日がしんしんと降

り積もる季節。
絵里「学校はどうするの?」

にこ「今日は学校ないわよ!学校から連絡来なかったの?」

絵里「まったく知らなかったわ」

お互いがお互いをあっためてるって、中々ホット

な話じゃない?

絵里「あれ?じゃあなんでにこは外に出てきたのかしら?」

にこ「!?そ、それは…なんとなく絵里がいたよ

うな気がしたからよ!」

春や夏や秋とは違う。静かな季節。それが冬。

絵里「手、握ってもいい?」

にこ「えええ//も、もう好きにしなさい!!」

そうやって握るにこの手は、とてもあったかく

て優しい。可愛らしいわね。

こういうのってなんて言うかって?

まあ、






「冬がくれた予感」とでも言うべきかしら?

fin