私の遥か頭上で、満天の星空が嗤っている。そ

れは悔しい程に輝かしくかつ煌々と星の果たす

べき本来の役割を果たしていた。いや、星の果

たすべき役割なんてのは本来無いのかもしれな

い。彼らだって必死に生きていて、それなりの

年月を経て今存在しているのだ。


ーーー疲れているのね、私。

星がどうこうなんて、考えることじゃ無いわ。

冷気を伴ったため息を一つだけつき、上向きに

なっていた目線を帰路に戻す。

今日は冷えるわね。

最も、こんな遅くまで外にいた私が悪いのだけ

れど。

〜〜〜

「今まで黙っていたけど、今日こそ言うわ」

「好きよ、エリー」

部室に2人きりになってすぐ、真姫は私に想い

を口にした。直ぐには言葉の意味が理解できな

かった私は、ただ呆然と紅潮している真姫の顔

を眺めることしか出来ずにいた。

「…なにか言ったらどうなの?」

部室に寂しく響く真姫の声は、声主が知り合い

であるということより前に彼女もまた1人の少女

であるということを私に意識させて。

「私で、いいの?」

「あなたしかいないのよ…」

真姫の目は真剣そのものだったが、彼女の言葉

に嘘が含まれているなんて私以外に誰が思うだ

ろう。



真姫は、ついこの前までにこと付き合ってい

た。


その事は二人と私以外、知らない。


二人も、その事は皆に言っておらず、秘密事項

としているらしかった。

最もそれは、偶然いつかの帰り道で私が知る事

になったのだが。

二人がキスしている姿を、見てしまった。

それだけ。なんて単純なのかしら。

当然3人でユニットを組んでいる私は激しく困

惑し衝撃を覚えたが、少し時間を経た後でそれ

をすんなり受け入れる事ができた。なのだが。


何があったのか、その真姫が私に突然告白して

きた。

訳がわからないわ。


しかし、きっとそれには色々と事情があるのだ

と承知した私は。


「いいわ、付き合いましょう」


「私も、真姫が好きだったの」




〜〜〜

その後はなしくずし的に二人でクレープ屋や

ら行きつけのファーストフード店に行き、一緒

に時を過ごした。

一応の所それは恋人という状態で行った事にな

るのだが、その内容はいつもμ'sの皆で行くのと

なんら変わりの無いものだった。そこにはキス

の一つもなければハグも存在しない。まあ、付

き合ったばかりだから当然といえば当然なのも

知れないけど。

そうこうして、一人きりの今に至る。

少し、前置きが長かったかしらね。


「寒い、わね」


誰もいない夜道の中で呟いたその言葉は、哀し

いほどに脆弱で意味をなさなかった。

誰にも聞かれなかったのは幸いね。

ふと目を閉じてから、そこにある静寂に耳をす

ます。当然何も聞こえない。

そうして私は、「今日自分がした事」を振り返っ

てみた。


朝起きる。学校に行くまでの道で希と会う。一

緒に登校する。普段通りの授業を聞く。周期的

に行われる英語の小テストと、その補完となる

先生の話を聞く。家から持ってきた弁当を食べ

る。また授業を受けてから、部活に行く。屋上

でμ'sの皆と練習する。下校時刻が迫って、部室

に戻り着替える。

普段より少し早めの解散(練習メニューを練る

海未の不在もあって)。



普段通りの、何ら変わらない平日。


の、はずだった。



ところが、それは真姫の告白により一変する事

となる。


『好きよ、エリー』


彼女の言葉が脳内にこだまする。


何故彼女は私に告白したのだろう?

にことはどうだったのか?

もしかしたら別れたのかもしれないけど、そん

なにすぐ新しい相手を見つけるものかしら?


いや、それよりも。


「あなたしかいないのよ…」



《あなたしかいないのよ》。

彼女の言葉を脳内で反芻する。

一体、どういう経路を辿ってこの言葉があの場

で生まれたのか?

その言葉は、それ自体として弱さを持っていた

が、まるで冬場に田舎の住宅地に突如として生

まれる氷柱のように、私の胸に確実に存在して

いた。

疑問は消える事なく、心の中に募っていく。



考えるのはよそう。


今ここで私が幾ら思いを巡らせようと、真姫の

胸の内など知り得るはずが無いのだ。

それよりかは、早く家に帰って暖かいお風呂に

入り身を温める方がいいに決まってる。


色々なことがせめぎ合った結果、今日のように

静かな夜が訪れるのだと思う事にした。


「静かな夜」



「silent tonight」


私は家に帰り着くなり、あたたかい風呂に入っ

て寝た。


翌日の夜、真姫から電話がきた。





以上です。
コレデオワッチャウノォ!?って思った方、申し訳ないです。
近い内に続きを投下しますので、少しお待ちください。

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