いろは「先輩、緊急事態です!」

八幡「それで?」

いろは「なんか先輩そっけなくないですかねー」

八幡「だってお前そうやって俺にいつも仕事やらせるんだもん」

そう、ディスティニーランドに行った後から一色は俺に付きまとうようになり、
何かと理由をつけては部室に顔を出すようになった。

いろは「えー、いいじゃないですかー。こんなに可愛い後輩がきてるんですよー?」

八幡「いや、あざとい後輩の間違いだろ。葉山はどうしたんだよ」

いろは「葉山先輩は部活で忙しいんです。それに先輩は暇じゃないですかー」

八幡「いや、知らないし。」

そもそも何故俺はいつも暇人という設定になっているのだろうか。異議を申し立てたい。
俺だって家に帰ったり、カマクラと炬燵で寝たりとかあるんですが・・・・・・
いや、それを暇人って言うんです!八幡のバカッ!

雪ノ下「比企谷君が暇人かそうであるかはおいときましょう。それより一色さん、要件を聞かせて頂戴」

いや、雪ノ下さん?俺は暇人決定なの?俺に抗議する権限とか無いの?

由比「そうだよいろはちゃん。どうしたの?」

いろは「聞いてくださいよ先輩!この間、スーパーの福引券でくじ引いたら一等当たっちゃったんですよー」

由比「すごいじゃん、いろはちゃん!」

いろは「はい、でもーその商品がラスベガスのペアチケットだったんですけどー私って仲良い友達とかいないし、家族も仕事で忙しいからって、行く相手がいなくて・・・」

一色は急に黙り何か言いたげな様子でモジモジしている。俺たちはどうしたのかと様子を
うかがっていると一色は俺の方を向き、真剣な眼差しで見つめてくる。

いろは「だから、先輩一緒に行きましょう!」

八幡「は?」

最初おれに言ったのではないかと一色の方を見るが一色は明らかに俺の方を向いている。
俺は理解できず、雪ノ下や由比ヶ浜の方を見やるが、なぜか雪ノ下たちは一色の方を向いたまま動かない。

八幡「いや、俺じゃなくて葉山とか誘えよ。それに女子とかの方が盛り上がるし、それに・・・」

いろは「先輩が良いんです!」

俺の言葉は途中で一色のこれまでに聞いたことのないような大きな声に遮られ、部室は静寂につつまれる。

いろは「せんぱいが、いいんです・・・」

気付くと一色の頬はほのかに朱く染まり、欲しいおもちゃを親にねだり不安げに待つ子供のようにも見える。
いつからだろうか一色をただのあざとい後輩ではなく、放っておけない妹のように感じるようになったのは。

八幡「本当にお前がいいなら、俺は別に構わない」

そう知らぬ間に俺は言っていた。ただ一色のことを考えていただけなのに。

いろは「ほんとう、ですか?」

一色の表情は緊張から安堵に変わり、胸をほっとなでおろしている。

雪ノ下「比企谷君・・・」

由比「ヒッキー・・・」

二人の方に視線をおくると雪ノ下と由比ヶ浜はどこか哀しそうな目で俺の方を見ている。

どうしたんだ、あいつら。

不思議に思い考えていると、ついさっきまで晴れていた空に雨雲がかかり部室の中も急に明るさを失う。

こりゃ一雨きそうだな。天気予報では晴れって言ってたのに。

俺は大雨になる前に早めに帰ろうと部室にまだ残ると言った雪ノ下と由比ヶ浜、まだ仕事があると生徒会室に戻る一色に別れを告げ帰路に着くのだった。